4月に中古の一戸建て住宅を買って、リフォームをしている人として、ノウハウを残しておく。
雑多なメモなので、不明点があればコメントください。

[そもそもなぜ中古一戸建て住宅にしたか?]

買おうとしていた地域は既に開発されつくしていて、新築では良い物件が見あたらなかったし、高かった。土地だけというのも意外に高い。
だから、中古の家を探して、リフォームしたほうが安くつきそうなので、やってみたところ、実際やってみるとかなり難易度が高かったので、そのポイントをここに残していく。

[リフォーム住宅購入関連で受けられる補助金や税制(2017年現在)]

  • 直系尊属贈与税の控除(H29年度で700万円控除)・住宅ローン控除(H29年度は2000万円までの1%で10年間控除)

→家を買おうと思っている人なら誰でも見たことがある、住宅ローン控除と贈与税の控除。新築ならあっさりと控除できるが、中古には条件が付いている。条件とは、
 ・木造なら築20年以内、非木造なら築25年以内
 ・さもなければ、耐震構造評点が1.0を越えていること
 というもの。2000年以降の建物なら、まず築20年でクリアできるが、そうでないものは耐震構造評点を確認する必要がある。建築士さんに耐震診断を申し込めばわかるが、2000年以前の建物だと、1.0を越えていることはほぼ「まれ」と思って良い。診断には10〜15万程度かかるので、これも注意。ここぞと思った建物で診断したらアウトでしたー!というのが最悪なので、先に、トラブルになりそうなものを避ける努力は、本人がしなければならないのだ。

他にもいろいろ補助金があるので情報提供。

  • 住宅ストック支援事業(良質な既存住宅の購入)

https://stock-jutaku.jp/purchase/
このへんは毎年変わっていくので、2018年以降はまた新しい情報をご覧下さいな。「中古住宅売買かし保険」というのに入れて、初めて降りる補助金。ところがこの瑕疵保険に入る条件がチョー厳しい。
・まず、2016年9月時点で39歳までの人が対象。
・「インスペクション」というチェックをして、中古住宅売買かし保険が付保できること(付保できない場合は是正指示が出るので、それをリフォーム工事で実施すること)
大まかにはこれだけなんだけど、この「是正工事」が相当大変で、古い住宅にはまず付けられないとみていい。

  • 住宅ストック支援事業(住宅のエコリフォーム)

https://stock-jutaku.jp/reform/
こちらはまだ条件がゆるいので、こちらを積極的に狙っていくべき。ただ、これをやるには、施工業者が「事業登録業者」である必要があって、そういう業者を探す必要がある。
工務店・リフォームショップ全体の2〜3割もないが、逆に言えばこういうのを登録している業者は、アンテナの高い良い業者である可能性も高い。

耐震補強の支援は多いが、この場合、1981年より前の「旧耐震」の建物が対象になっていることが多い。つまり中途半端な新耐震(1981〜2000)は、補助金が出なくてむしろ不利なのだ。ここ要注意!
探しているところの自治体でどんな補助金が出そうかは、以下のリンクからどうぞ。
http://www.j-reform.com/reform-support/


というわけで、このへんの補助金を最大限活用すべく、まずは自分でわかるポイントを押さえていこう。

[下見をするとき、絶対に押さえておくべき中古住宅のポイント]

絶対基準(これに引っかかるとトラブルになるので手を出してはいけない)
  • 建築確認申請を全て出していること(途中で増築している場合は、増築の建築確認申請が出されていること)

→良くあるのは、「確認済証がない」というケースだが、これは要するに「申請は出して通っているけど、申請通りに建てたかどうかを確認していない」というケース。でもここで言うのは、そもそも申請すら出していないケースだ。
これはつきつめると、建築基準法で定めた手続きを踏んでいない(無確認建築)という「違反建築」である。各種補助金を使おうとしたとき、補助金がだいたい出ない。最悪は、建ぺい率・容積率違反物件。自治体に知られると除却命令(増築前に戻せという、現実的でない命令)が出るし、銀行の融資も下りない(降りても不利な利率となる)。
建築確認申請の書類は、たいてい元の持ち主が重要書類として持っているが、たまになくなっていることもある。そういう場合は、県市区町村の建築関係の課(場所によって違う)に行くと、「建築計画概要書」というのが手に入るので、これがあれば建築確認申請を出したという記録が残っていることになるので安心。コピーも取れる。これがないと銀行は融資してくれない。

  • 「瑕疵」がないこと(瑕疵とは、雨漏り、シロアリ、基礎のひび割れのこと。この3つのいずれかがある物件は、補修が必要になる。基礎は素人にはわかりにくいので、気になるポイントがあった建築士に聞いてみたほうがいい)
  • 床がふにゃふにゃしていないこと

→床がふにゃふにゃなのは、だいたいシロアリか湿気のせい。シロアリも湿気も家の大敵なので、リフォームしてもまたやってくるという悪循環に。絶対見逃さないこと。
逆に、床がたわんでいる(建築用語では「レベルが合っていない」という)のは、床の骨組み(大引:おおびきや根太:ねだ)からやり直す必要が出るので、若干費用がかさむが、直せる。ふにゃふにゃなのは家の基礎的な構造に問題があるということで、防湿対策を付け焼き刃でいろいろしていくことになるので、後々もトラブルになりがち。
(そこまでいくなら、いっそ立て替えてベタ基礎で・・・という誘惑にかられ続けることになる)

  • 木造軸組工法であること

→ツーバイフォーや軽量鉄骨構造などだと、リフォームするときに間取りをほぼ換えることができず、障害となる。耐震設計もどうにもできない。だから、リフォーム前提なら木造軸組を選ぶべき。ただし、完成度が高く、築浅で、ほとんど手直ししなくて良さそう!的な物件なら良いかもね?

推奨基準(これがあると安心)
  • 再建築不許可物件でないこと

→とはいえ安いので、検討するなら必ず確認すべきなのは「既存不適格」(昔は適法だったが、法改正によって適法でなくなってしまった物件)か、「違反建築」(最初から違反していた物件)か。この2つで大きく変わる。
→既存不適格なら、リノベーションをおおっぴらにやるのはかまわないが、違反建築は何をどういじっても、家を壊すまで違反建築でありつづけるし、接道をクリアしていない土地なら改築もできないので、本気の意味で「詰む」。

  • 全ての建築確認申請に、建築確認済証が交付されていること

→増築がある場合は特に注意。2000年以前は、増築で確認済証を取ることなどまれであったから、「みんな取ってないですよー」と不動産は言うけれど、実際にはここが補助金を受ける障害になる。これも、自治体の建築課に行けば記録が残っていて調べられるので、売主さんが「確認済証の紙が見あたらない!」という場合でも、問題はない。要は、当時実際に確認したかどうかが問題なのだ。

  • 2000年以降(H12年〜)の建築である

→1981年(S56年〜)の「新耐震基準」に沿っていれば耐震がしっかりしている、という言説があるが、間違っていると言わざるを得ない(マンションは知らないけど、一戸建ては絶対)。新耐震基準になってから数年は、設計上の壁量は確保されているものの、大工が慣れていなくて施工があいまいなことが多く、例えば筋かいが入っていても釘打ちだけで金物が使われていなかったりして、想定している耐力が出ていないことが多い、というかほぼ全てそんな感じ。だから、耐震診断すると、新耐震なら設計上クリアしているはずの「評点1.0」は絶対に出ない。
本当に一部の先進的な工務店や厳格な基準を持つハウスメーカーと、それを理解している施主がやった注文住宅だけがクリアしていると見ていい。そんな家は1割以下だ。だいたい、何かしらの追加工事が必要になる。どれくらいになるかという話はまた今度(これはこれでいろいろある)
2000年の改正基準法で、細かな施工の内容も規定されたので、2000年以降の建物であれば、ほぼ耐震は問題ないと言える。逆に81年以降の新耐震は、はっきり言って「耐震」という実効性は疑問符が付く。
逆に、大幅に耐震をやりなおす前提なのだとしたら、S56.6前後のことなど何も気にしなくていい。旧耐震でも新耐震でも、2000年より前は素で評点1.0になることはまずないから。あとは、耐震設計のお値段と中古物件価格の勝負。(といっても、築30年越えたら、日本市場ではだいたい家の価値はゼロになるから、今の家が良い素材になりそうかどうかだけが基準になると思っていい。)
むしろ、旧耐震のほうが耐震補強補助金が出ることがあるので、トータルで見るとプラスだったりもする。

  • かび臭くないこと

→長い間空家だと、どうしてもかび臭くなってしまうのだけど、それ以上に重要なのが床下。かびくさい原因が、単なる空家の問題なのか、床下や壁の中が問題なのかはしっかり見る必要がある。住んでいるのにかびくさいのだとしたら、たいてい壁の中に問題あり。

  • 家の前の道が広いこと

→引越屋リフォーム業者の車が止めやすいだけでなく、知り合いや家族が気軽に遊びに来れる家になる。むしろ最重要ポイントの一つかも。2台目のカーポートスペースがあっても○。

  • 水回りの不具合

→水回りはだいたい取り替えることになるから、言うほど気にすることはない。ただし、水漏れで躯体(柱や大引きなど)が痛んでいないかは気をつけるべき。たいてい、洗面に床下点検口が付いてるから、そこを見れば雰囲気はわかる。ユニットバスならまず大丈夫。ユニットバスでない在来のお風呂なら、まず必ずユニットバスにリフォームすることになるので、+100万円はかかると見てよい。

それほど重要でないこと(素人目には「まずい」と思っても、案外大丈夫なこと)
  • クロスの汚れ、壁の穴

→クロスは必ず張り替えるから、何の問題もなし。壁の穴はだいたい石膏ボードの穴なのですが、補修でどうにでもなります。この2つ、目立つから問題になりやすいけれど、リフォーム前提なら特に問題ではないです。


のこりは次回!